さわやかな新緑の季節。心地よい風とともに連休が始まりました。FAS京都東山本店では、春の催し「アクリル作家 俵藤ひでと」展を開催しております。
本展は、日本に古くから息づく素材やものづくりを現代の視点と掛け合わせ、新たな価値を生み出すプロジェクト「FAS THE CRAFTS」の一環として実現しました。化粧品という枠を超えて、まだ見ぬ美しさや作り手のひたむきな思いと出会う——。この場所が、お客さまと作家の感性が共鳴するひとつの結び目となることを願っています。
会場となるのは、本店2階の小さな応接室。窓の外には、今まさに新緑の借景が広がっています。築100年の歴史を刻んできた東山本店。この空間が生まれた頃、アクリルという素材はまだ存在していませんでした。約80年前に生まれた現代の工業用素材であるアクリルがこの場所に置かれるとき、ひとつの空間で異なる時間が静かに交差します。

水の一瞬を留める結び
東山本店の1階には、俵藤さんに制作いただいた「水の彫刻」が常設されています。FASの黒米が育つ京丹後の清らかな水の美しさを写し取ったこの作品は、今や本店の風景の一部となっています。

2階の応接室へ足を進めると、「水の彫刻」からさらなる発展を遂げた最新作「Like a stone, like water.(石のように 水のように)」をはじめとする、水の一瞬の揺らぎを閉じ込めた作品群が目に飛び込んできます。ぷるんと弾む水滴のようでもあり、静かに佇む石のようでもある――。「Like a stone, like water.」は、そんな相反する二つの要素を内包しています。本来なら留めておくことのできない水の一瞬をつなぎ止めているのは、一本の麻縄です。麻縄の持つ神秘的な力や結界によって留められた水は、この縄を解けば、たちまち元の姿に戻ってしまう。そんな緊張感を帯びています。

結ぶという行為は、俵藤さんにとって一つの儀式のようなものです。結ぶの語源とされる産霊(むすひ)には、新しい生命や魂を生み出すという意味があるといいます。最後に自らの手で麻縄をギュッと結び、作り手の想いを封じ込める。その結びの儀式を経て、作品はようやく完結を迎えるのです。

床の間に置かれた「Water from a cut-out a pond(切り出された池の水)」もまた、波紋が広がる水面をそのまま切り出し、麻縄の力で形を保っています。窓辺や1階の庭には、茶庭の境界を示す関守石をモチーフにした作品も並びます。
日本人が古来より受け継いできた結びの文化。その精神性を纏わせることこそが、俵藤さんの独自の表現なのかもしれません。






































