黒大豆は"苦労豆" 京丹波産の黒大豆
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2024.04.11

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黒大豆は"苦労豆" 京丹波産の黒大豆

わたしたちのスキンケア製品は、FASが拠点を構える京都の自然の恵みがあってこそ。主軸となる黒米発酵液は京丹後産の古代米、黒米から。人気のクレンジングジェルの主成分、発酵はちみつエキスも同じく京丹後で採れる百花蜜から生まれています。今回はFAS独自成分、黒豆ペプチドの原料でもある京丹波産の黒大豆のお話を。黒豆ペプチドは肌のハリをサポートする成分として、「FAS ザ ブラック クリーム」、新製品の「FAS ザ ブラック デイ クリーム」に配合されています。FASの黒豆ペプチドは京丹波産の良質な黒大豆を100%使用。無農薬で育てられたものだけを厳選しています。

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京丹波は南北に長い京都府のほぼ中央部、丹波高原に位置します。長老山などの山々に囲まれた自然豊かな地域です。栽培しているのは「丹波黒」と呼ばれる、古くからこの地域に根づいている在来種。ふっくらと大粒で濃厚なコクと旨みがある丹波黒は、畑の黒いダイヤモンドとも評されるほど。お正月のおせち料理としてなじみがある方もいらっしゃると思います。この丹波黒は、ほかの地域で栽培しても京丹波産のようには味も大きさも同じ品質には育たないのだとか。それには京丹波特有の気候と良質な水が関係しています。

京丹波の作物を育む 秋の光景「丹波霧」

盆地で昼夜の寒暖差が激しい京丹波が10月の半ばを迎える頃、山々は「丹波霧」と呼ばれる濃い霧に包まれます。「寒暖差がある地域にはいい作物が育つ」と昔からいわれているように、寒暖差のメリハリが作物にとっていい意味でのストレスになります。このストレスに負けないために植物にはよりたくさんの栄養を溜め込む習性があり、黒大豆の場合は糖質を蓄えて大きく成長するのだとか。丹波黒の枝豆は9月に小さな紫色の花が咲いてさやが膨らみ出し、10月中旬にぷくぷくに大きくなり、旬の時期は10月いっぱいまで。枝豆は土から生えた状態のまま畑に置いておくことで熟して乾燥し、やがて黒大豆になります。風が吹くとさやの中で豆がころころと動いて、楕円型だった枝豆は丸々とした黒大豆へと変化していきます。葉を取り除いて日光を当て、収穫を迎える12月上旬までじっくりと黒大豆になるのを待っている間、週を追うごとにどんどん黒くなっていくのだそう。そのため、この期間の霧や寒暖差が丹波黒にとってとても重要になるのです。

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こうして収穫した京丹波産の黒大豆は、良質で通常の大豆よりも豊富にイソフラボンが含まれており、黒々とした種皮には抗酸化作用のあるアントシアニンもたっぷり。京丹波産の黒大豆はその品質の高さから江戸時代には献上品としても重宝されていたという文献が残っているほどです。

納得のいく素材を 信頼できる生産者から

スキンケアは直接肌に触れるものだからこそ、わたしたちは納得のいく素材を信頼できる生産者さんから仕入れることを大事にしています。FASの黒豆ペプチドの黒大豆を栽培してくださっているのは京丹波で農業を営む田村 哲也さんです。黒大豆だけでなく、田村さんが栽培している野菜はすべて無農薬。無農薬栽培で最も大変な点は、収穫量のロスがとても多いことです。無農薬の枝豆は甘みが段違い。その分、虫がたくさんついて必然的に廃棄になってしまう量も多くなります。田村さんの畑では20センチの巨大な芋虫がつくこともあるというから驚きです。「無農薬なので防ぐ手立てはありません。食べられて当たり前と思って栽培しています。芋虫がそれだけ大きくなるほど、枝豆が美味しい証拠。安全性を考えれば、虫も食べないようなものを作っても意味がありません」

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田村さんの畑には小さな虫を食べる大きな虫が来て、その虫を食べる蛙がいて、その蛙を狙って鷺がやって来ます。畑の周りには持ちつ持たれつの命の循環が感じられるのです。それは畑の土の中でも同様で、農薬を撒いてしまうと微生物が弱って抵抗力が落ち、病気にかかりやすくなります。土の中の微生物は、野菜の葉や枝を分解してふかふかの土を作ってくれたり、植物が吸収しやすい栄養素を作ってくれます。その栄養がまた枝豆へと還っていく循環が土の中にも存在しているのです。

たかが山、されど山 長老山の水の恵み

京丹波が黒大豆の栽培に適している理由に、寒暖差によって発生する丹波霧のほかに山間部ならではの清涼な水があります。京丹波には長老山と呼ばれる高い山があり、夏の暑い時季でも水がとても冷たく、その冷たさが丹波黒の生育によいストレスになります。樹木が生い茂る山から流れる水にはミネラルが豊富に含まれているので、丹波黒が際立って栄養豊富でおいしいのは、この水の恵みのおかげでもあるのです。

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田村さんは黒大豆の農家さんであるだけでなく、林業も営まれており、前述した長老山の管理にも携わられています。「きれいで良質な水は山から作っていかなければなりません。山の木は人間が手を入れたところに関しては、人間が管理しなければダメです。もし山に木がなければ水は土の表面を流れるだけで、それでは決して水はきれいにはなりません。水は木があるからこそ土の中に深く染み込み、しっかりと土に染みこんでいく過程で土がフィルターになり、何年もかけて水が濾過され、やがて山から滲み出てきます」この水の恵みがなければ作物を育てることはできないと田村さんはいいます。

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「水は米や野菜、全ての作物に必要不可欠。全体からすれば一部に過ぎませんが、自分で手入れをした山から水をいただいて農作物を作る、その一連のサイクルに関われていることがうれしく、少しでも自然のためになればという思いでやっています」

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近年の京丹波では人間が山に深く入り過ぎてしまったことが一因となり、食べ物がなくなって山から降りてきた動物がお米も黒大豆も食べてしまう獣害に悩まされています。田村さんは動物を山に返すため、どんぐりなどの実を落とす木を山に植える取り組みもされています。京丹波の黒大豆は恵まれた自然環境のもとでとりわけ大きく育つので、それ故に機械化できない作業が多く、苦労豆ともいわれるくらい栽培が大変な作物です。さらに無農薬にこだわって山の水から黒大豆を作ることは並大抵のことではないと容易に想像できます。それだけの思いをもって活動されている田村さんの取り組みに大いに共感し、わたしたちは京丹波産の黒大豆100%にこだわりをもっています。