ーーーー ガヤガヤと人が行き交う、京都中心部の喧騒から少し離れ、移り変わる四季の流れに気づくことができるその場所の名は『FAS 京都東山本店』。伝統と革新が心地よく交差するその場所で、ブランドマネージャー『井上みなみ』は静かに、ただ力強く、語り出す。
INDEX 1. FASのはじまり
2. 一人ひとりが誠実に、一つひとつに貪欲に
3. 肌が満たされるだけじゃない、心から満たされるスキンケアブランドへ
井上 思い返してみると、長いようで短いような。4年前、まだFASというブランドが名前もない時代、「美容を本当に好きな方々を心から喜ばせることができるスキンケアブランドを作りたい」、「お客さまをあっと驚かせることができる製品を作りたい」わたしとR&Dマネージャー向山のその思いからスタートしたFASは、ついに公開から1年を迎えることができました。いつもご支援をいただいている皆様、ご愛玩いただいているお客さまには、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
ーーーー FASがブランドとしての輪郭を手にいれ、お客さまの手元に届くまでに丸3年。そこには、生活を変え人生をかけ、いいものづくりのために真剣に取り組む、人々の存在があったという。
井上 ブランドのコンセプトは『発酵と科学』ですが、最初からこのコンセプトでスタートしたわけではなかったんです。決まるまでには、本当にいいスキンケアブランドを作るために必要な美容液を、どうしたら作りあげることができるのか。様々な角度から調査や議論を続ける中で出会った大切な人と物の存在があります。
ーーーー FASの製品に使われている『黒米発酵液』、そして原料である黒米との出会い。さらに、黒米がつくられている京丹後へと辿り着けたことは、思い返してみれば偶然の出会いの連続だったという。
井上 まず最初の出会いは、日本に古来からある伝統技術『発酵』でした。次に出会ったのは、発酵の力を、美容のためにどうしたら最大限引き出すことができるのか、研究を続ける中でご紹介いただいた『科学』のプロフェッショナルたちの存在。そして、最良の発酵液を作るために、いくつもの素材を試した先で導き出された、原料である『黒米』と、栽培いただいている『芋野郷赤米保存会』の方々との出会い。いくつもの出会いを積み重ねてFASは形づくられています。
ーーーー 「出会いは、偶然」 確かにそうかもしれないが、FASを形づくる出会いには、貪欲に製品の品質に向き合ってきたからこそ、導き出された必然性が感じられる。
「今だからできる“発酵”を」
井上 その思いで走り出したFASには、ただ単に“発酵した何か”を製品に取り入れればいいという考えは全くありませんでした。そこには、FASの製品を通してお客さまの美しさに貢献するために、わたしたちにできることとは何か。向き合い続けてきたからこそ作り上げることができた『黒米発酵液』の存在があります。『発酵と科学』このコンセプトは、長い時間をかけ美しさのために必要なことを考え抜いた先で見つけた、一つの答えでした。
ーーーー 「今に焦って妥協することを絶対に良しとはしない」 井上が語るその思いは、原材料のこだわりへと色濃く反映されていく。FASのシグネチャー製品である『FAS THE BLACK ESSENCE ザ ブラック エッセンス』に使用されている黒米発酵液。その原料である黒米はすべて、京都府京丹後市にて『芋野郷赤米保存会』の人々の手によって作られ、日々改良が行われている。
井上 「納得いく製品を作るために、納得いく原材料を、信頼できる生産者から手に入れたい」。FASの製品を作っていく上で原材料に妥協しないことは、肌に直接つけるスキンケア製品を、胸を張ってお客さまに届けるために、わたしたちの中で譲れないこだわりの1つでした。だからこそ、東京から片道6時間。何度も何度も京丹後へと足を運び、田植えのお手伝いや、お話をさせていただく中で、わたしたちの思いを共有していきました。黒米栽培のプロフェッショナルである芋野郷赤米保存会会長『藤村政良さん』を中心とした農家の皆さまは、わたしたちの思いに真摯に向き合い、これまでの生活を変え、自分たちの人生をかけ、さらにいい黒米を作るために日々奮闘を続けてくれています。だからこそ、FASの製品だけではなく、その背景にある人々の思いや行動も知って欲しい。みなさん、いいものをつくるために貪欲で真剣で、そして人にやさしくて、あたたかくて、素晴らしい方々ばかりなんです!
ーーーー 「田植えは毎年一年生」 四季がある日本、それも毎年気温が変わるタイミングや降水量も異なるこの国で、農作物の品質を担保すること、さらにより良いものへと改良していくことは至難の技。FASチームでは定期的に京丹後に集まり、FAS運営チーム、赤米保存会の皆さま、米農家であり発酵のスペシャリストである佐々木要太郎さんが、畳の上で膝をつきあわせて、黒米の改良を進めるために、何を改善したらいいのか議論を行う。田植えの時期を変えるのか、水を張る高さを変えるのか、それとも土から見つめ直すのか。FASの製品はその製品自体だけではなく、それを形づくる原材料から進化を続ける。
3. 肌が満たされるだけじゃない、心から満たされるスキンケアブランドへ
井上 ビューティーのブランドであるからこそ、お客さまのお肌をきれいにしたい、することは使命だと考えています。だからこそ、製品の品質向上に妥協なく取り組んでいく。原材料である黒米だって、一度は完成した黒米発酵液だって、まだまだ進化できると思っているし、変わり続けていく必要があると考えています。
ーーーー 美しさを届ける。そのための品質への妥協のない姿勢。しかし、FASが提供したいものは肌を美しくすることだけではないという。
井上 FASは、本当に多くの方々の長い時間と気持ちをかけて作られています。そこには、普段はなかなか触れることのできない魅惑的な発酵の世界だったり、黒米という失われつつあった伝統を取り戻そうと戦う人々の勇姿であったり、心を震わすようなストーリーや気づくことのできなかった日本の美しさ、面白さが眠っています。わたしたちは製品と一緒に、そういったFASの背景にあるものも伝えていきます。わたしたちの活動や製品を通して、肌が満たされてきれいになるだけではなく、心から満たされ美しくなる。充足感を感じることができる、そんな体験をお届けできたらうれしいです。
Profile
井上みなみ (FASブランドマネージャー)
株式会社シロクに入社し、2017年に新規事業として化粧品ブランドを立ち上げ、ブランド責任者を務める。2023年にFASを立ち上げ、2024年9月より、株式会社シロクの常務執行役員に就任。現在FASブランドマネージャーとして、ブランド全体のディレクションを行う。