interview
2024.03.28
12.
インタビューシリーズ
『FASの由縁』
芋野郷赤米保存会会長
藤村政良
『発酵と科学』2つの知恵を携え、日々最良の品質への挑戦を続けるスキンケアブランド『FAS』。背景には、いいものづくりのために小さなこと一つひとつに妥協しない、どこまでも貪欲で、誰よりも誠実な人々の姿がありました。インタビューコンテンツ『FASの由縁(わけ)』では、ブランド創立1周年を記念するこの機会に、FASを形づくる各分野のプロフェッショナルたちの仕事現場に足を運び、一人ひとりの心に潜む思いに耳を澄ませることで、FASがなぜ生まれたのか。どんな願いが込められているのか。FASがFASである由縁(わけ)を紐解きます。
ーーーーはじめに
「大変なことも多いけど集落一丸となってFASチームの思いに応えたい」。朗らかな口調でそう話すのは『FAS THE BLACK ESSENCE ザ ブラック エッセンス』の原料である黒米を提供してくれている『芋野郷赤米保存会会長の藤村政良』さん。古代米という歴史を背負い、より品質の高い米づくりに日々向き合う彼と芋野の人々の歩みから、FASがFASである由縁を紐解く。
1300年前の古代米を現代へ
井上はじめに、簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
藤村芋野郷赤米保存会会長の藤村政良です。1300年前に栽培されていた古代米である黒米(古代米:通称古与曾(こよそ)米)を伝承していくため、京都府京丹後市弥栄町芋野で日々活動を行っています。
ーーーー日々黒米づくりに向き合う藤村さんと芋野郷赤米保存会のみなさま。FASの製品に使用される黒米はすべてこの芋野の地で栽培されている。
井上1300年前に存在した黒米をもう一度現代へ。夢のあるすごい活動ですね。あまり耳にしたことのない黒米ですが、普通のお米とは何が違うのでしょうか。
藤村黒米の皮の部分には、抗酸化作用のあるポリフェノール(アントシアニン)やビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれており、見た目はその名の通り黒に近い色をしています。そんな黒米は稲穂になると大きいもので高さ1メートルを超えることもあり、風の影響を受けやすく白米に比べ栽培が難しいことも特徴の一つです。
ーーーー雨風の影響で稲穂が倒れると米が傷みやすくなるため日々注意が必要だと藤村さん。化粧品の原料となる黒米を栽培するためには、ほかにも様々な注意をしながら栽培に取り組んでいるという。
藤村さんとFASとの出会い
井上「わたしたちの化粧品にみなさんの黒米を使わせて欲しい」
最初にご相談させていただいた時、藤村さんはどう思われましたか?
藤村正直、驚きました。黒米は食べるものだと思っていましたから。集落の仲間たちもびっくり!本当に化粧品に使えるのか。最初は半信半疑でした。それに、黒米の種が白米を育てる田に落ちてしまったら混ざって侵食してしまうリスクもある。周りの農家さんたちも緊張感を持って見守っておられたと思います。わたしの最初の仕事は周りの農家さんたちにご理解いただけるよう丁寧に説明をさせていただくところからはじまりました。
ーーーー様々な栄養素を含む分、生命力が強いので栽培には周りの田への配慮が必要だと藤村さん。さらに、製品を安定して届けるためには一定の量を安定して栽培することも必要不可欠。難しい米づくりに向きあってこれたのはFASチームの製品に対する思いも関係しているそう。
藤村FASチームのみなさんの思いを聞いて、一緒に黒米づくりに取り組んでいくなかでFASチームのみなさんの誠意がどんどん好きになっていって、どうにかみなさんのご希望に応えたいと集落一丸となって黒米づくりに向き合っていきました。
井上いつも本当にありがとうございます。わたしたちの思いにこれだけまっすぐ向き合っていただけることが本当にうれしいです。
藤村FASチームのみなさんは言葉だけではなく行動で示してくれるからです。東京でお仕事をされているのに年に6回も7回も片道6時間以上かけてこの地へ足を運び、田植えや稲刈りを手伝ってくださる。そのものづくりへのまっすぐな熱にわたしどもも動かされているんです。だからこそ、黒米を守るためだけではなく、みなさんの思いに応えるためにも、いい黒米づくりに取り組んでいきたいんです。
ーーーー実際に現地で話を聞いていると、集落のみなさまとFASチームの距離感に驚く。「おかえり」「元気だったかい」「いつもありがとう」「またきてね」それだけ長い時間をともにし、一丸となって米づくりに向きあっている。いいチームであることを感じる。
自然の力を最大限に引き出す黒米を
井上一般的に化粧品をつくるとなると、様々な土地の生産者の方から原材料を買わせていただくことが多いのですが、わたしたちFASは芋野のみなさまからしか黒米を仕入れていません。それは、みなさまのお人柄が好きで魅了されているからこそですし、わたしたちが考える安心安全な製品をつくる、その思いに本気で応えようとしてくれているからです。
藤村FASチームのみなさんのその思いを受け、化粧品の原料である黒米の栽培には緊張感をもって取り組んでいます。余計なものはいれたくないですし、自然本来の力をできるだけ活かして栽培したい。だからこそ減薬農法を取り入れています。その分雑草が生えてきますし手間がかかります。正直とても大変です。ですが、製品を安心して使ってもらいたい気持ちはFASチームのみなさんと同じなので。収獲の際にはお米をできるだけ傷つけないようにするために、一般的な耕作機械を使わず専用の機械を使ったり、手作業で収獲したりと最後までこだわりをもって黒米を栽培しています。
井上収獲を何度かお手伝いさせていただきましたが大変な作業ですよね。それだけではなく、普段の雑草とりも、機械が使えないから集落のみなさんの力を借りて手作業で。些細な部分まで手間ひまをかけていただき本当にありがとうございます。
ーーーー
一人またひとりと仲間が増えていき、いまでは集落の若者が雑草とりを手伝ってくれるほど。
一人ひとりの思いが連なりFASの原料である黒米づくりは成り立っている
井上毎年環境が変わる中で安定した収穫量を担保するだけではなく、さらなる品質向上のために年に一回、次の黒米づくりに向けてどんな点を改善していくか議論をさせていただいていますね。畳の上で膝をつき合わせて話し合う。年に一回しか収獲できない黒米。改善できる点も年に一つだけ。途方もないように思えますが、集落のみなさまのおかげで土壌もお米も毎年良くなっていっていることを感じます。まだまだやらなければならないことはたくさんありますが、これから先5年10年たった時にどのような黒米ができるのか、さらにその先でどのようなFASの製品をつくりあげることができるのか本当に楽しみです!
これからも挑戦を続ける
井上FASを手にとってくださる方のお肌をより良くするために! それはスキンケアブランドとしての使命だと考えています。ですが、FASはそれだけではなくその背景にあるものをより多くの人に届けたい。どんな人々が人生をかけ、どんな思いで日々向き合っているのかをしっかりと伝えていきたいです。肌がきれいになるだけじゃなく、背景を知り、思いを知り、心が動いて内側から満たされていく。そんな体験をFASチームと芋野のみなさんとでつくりあげたい。
藤村ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。芋野に期待し、愛してもらった分しっかりとお応えできるよう、より品質の高い黒米の栽培に挑戦していきます!これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Profile
芋野郷赤米保存会会長 藤村政良
1300年前に栽培されていた黒米を復活させた 故 芦田行雄さんの思いを受け継ぎ、芋野郷赤米保存会会長として13年、黒米の伝承と魅力の発信に尽力する。FASで使用している黒米の栽培のすべてを芋野の人々とともに担当し、より品質の高い黒米の生産に向け日々挑戦を続ける。