FASは日本各地のさまざまな地域を旅しながら素材を探求しているわけですが、今回はFAS ザ クリアシリーズの主役となる「発酵はちみつ」についてのお話を。黒米発酵について研究を重ねる過程で発酵の力にどんどん魅せられていったわたしたち。滋養豊かな素材に良質な酵母や菌を組み合わせ、その変化の過程を最新の科学技術によりコントロールすることで、肌にとって有益な美容成分が生まれる過程は何度経験しても本当に夢のようです。
この発酵の力を軸にした次なるアプローチとして目を向けたのがこの、発酵クレンジング 。
今回はFAS独自成分の「発酵はちみつエキス」の原料である百花蜜(ひゃっかみつ)を提供いただいている京都の養蜂家である岡崎喜一郎さんから、こだわりの製法についてお話を伺いました。
日本古来の蜂が集める多様な野花から成る「百花蜜」
国産のはちみつのほとんどがセイヨウミツバチによるものですが、通常セイヨウミツバチは、アカシア、桜、栗など、特定の1種類の花から蜜を集める性質をもっています。しかしこの百花蜜は、日本古来から生息するセイヨウミツバチが、野山に咲く様々な花の蜜を集めてつくられたとても珍しいもの。希少価値が高く、滋養豊かで独特の複雑な風味があります。
岡崎さんは、巣箱の側に花を植えるところから採取のタイミングまで全ての工程にこだわって、丁寧に糖度の高い百花蜜をつくられており、第43回京都府はちみつ品評会でも最優秀賞を獲得するなど、毎年質の高いはちみつを採取されています。
過酷な野山で、最高品質のはちみつを
すこし意外ですが実は、京都は決して野花が豊富な土地ではないんです。そのためはちみつ産業が特に盛んな土地というわけもはありません。確かにはちみつの名所といえば、水の質が良く花の品種が多い九州・長野・和歌山などが思い浮かびます。
近年は温暖化の影響や林業の減少により京都の花の品種が増え、だんだんと百花蜜に適した環境になってきているとはいうものの、はちみつを好む熊や飼っているハチを殺してしまうスズメバチなどの天敵は依然として多く京丹後でのはちみつ作りは決して簡単ではありません。
この地域で品質と量に関して安定的な供給ができる養蜂場は本当に限られており、細部までこだわり抜いた製造をされている岡崎さんの養蜂場は、その限られた養蜂場の貴重なひとつなのです。
じっくり一晩寝かせた濃厚蜜
生産効率を優先して溜まってからすぐに採るとサラサラ・シャバシャバとした質感です。一方で、日中に集めた蜜を蜂が夜に乾燥させるため、一晩寝かせて早朝に採取したハチミツは糖度がぐんと高くなると言われています。
しっかりと濃くなるのを待つか、収穫量を優先してすぐ採取するかは農家さん次第。岡崎さんはしっかり糖度が上がってから採取する朝採りにこだわりを持たれています。
さらに、ミツバチのびのびと暮らせる環境を作るために、冬場には巣を温めたりと、ミツバチの越冬を支える工夫も。ミツバチや森の心地よさを一番に考え抜いた先に、最高品質のはちみつがあるのです。
ひとつひとつ、手作業にこだわる
はちみつの採取は、今や一般的に機械に代替されている部分も多い中、岡崎さんの採取方法は全て手作業。
作業はまず、巣箱にぎっしりとついたはちみつのロウをナイフで剥がすところから始まります。この日はブランドマネージャーの井上も作業に参加しました。
蜜蜂の巣はハニカムとも呼ばれ、六角形の模様でできています。ハニカムの中にはこのように、蜜がぎっしり。
ここからはちみつを取り出す作業は遠心分離機で、この動きによってハニカムと蜜がきれいに分離します。
これは余談なのですが、初めて岡崎さんご夫婦にお会いした際、紫外線を40年以上浴び続けられているのにも関わらずあまりにも美しい肌艶に衝撃を受け、これから作る成分に大きな期待を抱いたことを、今でも覚えています。きっと毎日この遠心分離機の過程ではちみつの成分を肌に浴びられていることが関係しているのではないかと思います。
最後に、網や布で濾過することで、不純物を取り除き、ついに完成。こうして手作業で作られたこだわりのハチミツが生まれるわけなのですが、本当に細部まで丁寧な工程に、チーム一同驚かされました。
ハチの選定も養蜂家の力量
ハチの巣の中心を担う女王バチ。実はハチは皆同じ働きバチとして生まれ、いい女王バチになる見込みがあるハチに集中的に栄養を与えることで、女王バチとして育てるのだそうです。
ハチにもそれぞれ個体差があり、いい女王バチの条件は、子をよく産み、温厚で人を刺さないこと。温厚な性格なほうが子をよく産む傾向にあるというのはなんとも面白いですね。どの個体を女王バチとして育てるかの判断は、養蜂家の腕にかかるといいます。
5人の研究員が発酵に尽力
岡崎さんのハチミツをFAS ザ クリアシリーズの原料にさせていただくことが決まり、私たちは早速ハチミツ発酵に着手しました。しかし、岡崎さんのハチミツは丁寧に採取されすぎているが故に、普通のハチミツよりも活性酵素が多く、これまでの一般的なハチミツの方法では発酵できないことが判明。
しかし、どうしても原料は岡崎さんのハチミツを使用させていただきたい。開発チームの強い思いから、原料会社の研究員の皆さんが、通常ではあり得ない5人がかりのチーム体制でハチミツの発酵に尽力。そうして研究を重ね、丁寧に時間をかけて発酵させたところ、グルコン酸(PHA)を豊富に含む発酵エキスが生まれたのです。