「手間をかけるわけ」
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interview

2024.11.21

08.

インタビューシリーズ

『FASの由縁』

vol. 2「手間をかけるわけ」

養蜂家

岡﨑喜一郎

『発酵と科学』2つの知恵を携え、日々最良の品質への挑戦を続けるスキンケアブランド『FAS』。背景には、いいものづくりのために小さなこと一つひとつに妥協しない、どこまでも貪欲で、誰よりも誠実な人々の姿がありました。インタビューコンテンツ『FASの由縁(わけ)』では、ブランド創立1周年を記念するこの機会に、FASを形づくる各分野のプロフェッショナルたちの仕事現場に足を運び、一人ひとりの心に潜む思いに耳を澄ませることで、FASがなぜ生まれたのか。どんな願いが込められているのか。FASがFASである由縁(わけ)を紐解きます。

FAS ザ クリア クレンジングジェル

養蜂家 岡﨑喜一郎

ーーーー「よく世話をする。そうすれば、ハチさんは必ず恩返ししてくれる」。優しい口調でそう話すのは『FAS THE CLEAR CLEANSING GEL ザ クリア クレンジングジェル』の原料であるはちみつを提供してくれている『養蜂家 岡﨑喜一郎』さん。暑い時期も、寒い時期も、良いはちみつを作るために、ハチ達への敬意を忘れず愛情を注ぎ続ける彼のその優しさから、FASがFASである由縁を紐解く。

INDEX

1. 岡﨑さんとFASの出会い
2. 花の蜜だけじゃない、愛情のつまった百花蜜
3. 一晩寝かせて熟成させる、採蜜へのこだわり
4. ともに生きる、ともに作る、優しいはちみつ
養蜂家  岡﨑喜一郎

1. 岡﨑さんとFASの出会い

井上FASの製品に最高のはちみつを使いたいと考え、様々な土地を探し回っていました。いくつもの土地を巡る中で、ご縁が繋がり「京丹後ではちみつと言えば岡﨑さん」と信頼のおける方からご紹介いただいたのが、岡﨑さんとの最初の出会いでしたね。

岡﨑そうでしたね。まさか私が作るはちみつが化粧品に使われるなんて。考えたこともありませんでしたよ。(笑)

ーーーー嬉しそうな表情をしながら、驚いたと話す岡﨑さん。ブランドマネージャー井上は京丹後へ何度も足を運ぶ中で、はちみつを提供してもらうとしたら岡﨑さんしかいないという、確信を得ていったそう。

井上はちみつ作りに対する思いやこだわりを伺う中で、この方しかいないと強く惹かれていったことを覚えています。良いはちみつを作りたいという熱量もそうですが、ハチさん達に敬意を持ち日々丁寧に向き合うその真摯さや愛情の深さも、岡﨑さんとFASの製品を作りたいと思った理由の一つでした。

岡﨑何度も足を運んで私たちのこだわりを聞いていただきましたね。私たちのはちみつに興味を持っていただいたことが、とても誇らしかったです。何より、本当に良い製品を作りたいんだなって、まっすぐな思いに、私たちの心も動かされていきました。

2. 花の蜜だけじゃない、愛情のつまった百花蜜

ーーーー製品の核となるはちみつは、『百花蜜(ひゃっかみつ)』花の香りが混ざり合い、複雑な風味をもつそのはちみつは、滋養豊かで希少性の高いものだという。

井上百花蜜とは、どのようなはちみつなのでしょうか。

岡﨑百花蜜とは、野の花や山の花など複数の花の蜜から作られるはちみつのことです。普段はアカシア、桜、栗など、特定の1種類の花から蜜を集める性質をもっているセイヨウミツバチが、特定のある時期だけ様々な花の蜜を集め、百花蜜を作ります。

井上すごい!珍しいはちみつなんですね。作る過程で岡﨑さんはどんな取り組みをされているのでしょうか。

岡﨑私はハチさん達が無理なく花の蜜を集めることができるように影ながらサポートしています。例えば、花の様子やハチさん達の様子を伺いながら、タイミングを見て百花蜜の花が咲く近くに巣箱を移動する。ハチさん達に気持ちよくはちみつを作ってもらうためにはどうしたら良いのか、日々考えています。

ーーーー自分にできることとは何か。こだわりを語る岡﨑さんの表情からは、まるで子を見守る親のような優しさが感じられる。

岡﨑栄養が足りなくなる冬場の時期は独自の餌を作ってあげにいったり、日差しが暑くなってきたら日よけの簾をかけてあげたり、見回りによく出かけています。寒かったり、暑かったり、私たちが辛ければハチさん達はもっと辛いですから。助けてあげられたらなって思っています。はちみつを作るために頑張ってもらわなあかんですし、頑張ってくれているハチさん達を少しでも後押ししてあげたいんです。本来自然の中で生きてきた彼らには必要ないのかもしれないけど、手間をかけて、よく世話をすることは大切なことだと考えています。

3. 一晩寝かせて熟成させる、採蜜へのこだわり

井上はちみつができる過程だけではなく、採蜜にもこだわりがあると以前少しお伺いしましたが、具体的にはどんな取り組みをされているのでしょうか。

岡﨑こだわりは2つあります。
1つ目のこだわりは、採蜜を朝にするということです。

井上朝なんですね!他の時間帯ではなく、朝に行う理由とは一体何なのでしょうか。

岡﨑理由としては一晩おくことではちみつが熟成され、糖度が上がり濃密になるからです。この熟成の背景には、一晩中眠ることなく集めた花の蜜の水分を飛ばし続ける、ハチさん達の努力の軌跡があります。

ーーーーハチ達が一日中飛び回り巣に集めた直後の花の蜜は『花蜜(かみつ)』と呼ばれ、まだ水分を多く含む。水分が多い状態では保存に適さないため、ハチ達が自分たちの羽で気流を生み出し、朝にかけて徐々に徐々に水分を飛ばしていく。最終的に、糖度約80度、水分量約20%の状態にまで水分を飛ばした状態になると、今度は空気中の水分を吸収しないように、『蜜蓋(ミツブタ)』というミツロウで蓋をし、熟成は完成する。

井上以前はちみつを取り出す前のハチの巣を見せていただきましたが、巣の表面を覆っていた蓋のようなものが熟成の証だったんですね。実際に持たせていただきましたが、ずっしり重たくて、とても中身が詰まっていたことを体が覚えています。それだけ、熟成されて密度が濃いものになっていたんですね。

井上もう一点のこだわりもお伺いしてもよろしいでしょうか。

岡﨑もう一点は巣からはちみつを取り出す際に、濾過の工程を2回行うことです。遠心分離機で、ハチさん達の巣からはちみつを取り出すのですが、そのままではまだ巣のカケラが残っているなど不純物が含まれた状態です。通常は1回、フィルターが3層になった三重蜜こし器で濾過を行いますが、私たちはその工程を2回行います。なぜならできる限り純度の高いはちみつを皆さんに届けたいから。だからこそ、丁寧にこの工程を行います。

4. ともに生きる、ともに作る、優しいはちみつ

井上お話を伺う中で、岡﨑さんはハチさん達に本当にたくさんの愛情を注がれていると感じました。寒い時期も暑い時期もなぜそれだけ手間ひまをかけられるのでしょうか。

岡﨑やっぱり一番は美味しいはちみつを皆さんに届けたい。その思いがあってこそかな。それに、ハチさん達の様子をよく観察して、よく世話をしてあげると、必ず恩返しをしてくれるんです。お節介すぎるところも、もしかしたらあるかもしれないけど、春一番他のハチさん達より早く花のもとへ辿り着けるように。少しでも背中を押してあげたいんです。

Profile

養蜂家  岡﨑喜一郎

養蜂家 岡﨑喜一郎

2001年より養蜂家であった父親の後を継ぐために、会社員の仕事を兼務しながら養蜂業を始める。2011年からは養蜂業に一本化し、より美味しいはちみつを生産するために日々ハチ達に向き合い続ける。京都府養蜂組合はちみつ品評会「第34回:最優秀賞」「第35回:入賞」