story
2024.10.06
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大人が何歳になっても、忘れかけていた好奇心を掻き立てられるような、本物を生み出したい。そんな思いを掲げるわたしたちFASが大切にしていることの中に「信頼できる生産者の方から原料を仕入れたい」という考えがあります。
素材探しの旅からFASのものづくりが始まる
ものづくりにおいて「素材選び」は、製品の品質を決定づける重要な要素です。産地や気候、作り手の栽培方法次第で素材に含まれる栄養素は大きく変わってきます。お客様に届けるものは、素材ひとつとっても、肌と心に最善なものを選択したい。わたしたちのものづくりはまさにひとつの旅のように、素材探しとその生産者の方に会いに行くところからスタートします。
作り手の情熱が信頼の証
プロジェクト開始とともにまずわたしたちが最初に探したのは、ブランドの命といっても過言ではない黒米農家でした。栄養豊富で、品質の高い黒米を安定的に供給していただける農家さんを探していた際に、ご縁があって紹介いただいたのが、京丹後で黒米や赤米をはじめとする古代米の保存・継承活動を行っている「芋野郷赤米保存会」の皆さんです。
会長の藤村政良さんに初めてお会いした日、わたしたちはその情熱と誠実さに心を打たれました。 古代米の黒米は、そのあまりに強い生命力により周囲で栽培している白米を侵食してしまう可能性があるため、黒米の栽培は周りの農家さんのご理解をいただくところから始まります。耕作機械の混同もできないため、専用の機械を用い、時に手作業で米作りを行っています。減薬農法のため、雑草も生えてきます。その草むしりを集落の若者たちが一緒に手伝ってくれるのだと、藤村さんは語ります。
ほかにも、地域の資料館の運営や小学校の子ども達への米作りの教育など、お金儲けのためではなく、古代米を復興し後世へと継承するために情熱をもって活動されている赤米保存会の皆さん。その熱意に感動し、この方々が作る黒米は信頼できると確信しました。
片道6時間の道のりを越えて京丹後へ通う日々
ぜひこの黒米を使わせていただきたい。訪れたその日、赤米保存会の皆さまの黒米をFASの原料としてご提供いただけないかと相談しました。
当然ながら 最初は、大切に栽培したお米が食用ではなく、化粧品に使われることに少し戸惑いがあったそうです。しかし、諦めきれなかったわたしたち。 片道6時間かけて東京から京丹後へと何度も通う日々がスタートしました。地域全体の理解を得られるよう、FASの思いと赤米保存会の活動への思いを、町の皆さまにお伝えし続けました。その中で徐々に田植えや稲刈り、除草作業のお手伝いをさせていただけるように。
米作りをお手伝いする中で、地域の皆さまの温かさに救われた思い出がいくつもあります。田植えの後に村の皆さんがご飯を作って振舞ってくださったり、米粉を使った手作りのラーメンをいただいたこともありました。
そうしていつしか、京丹後を訪れると「おかえりなさい」と声をかけていただけるまでに。こうしてFASと赤米保存会の正式なお取引が開始しました。 今も田植えや稲刈り、除草などのために年に数回、京丹後への訪問を継続しています。
余談ではありますが、化粧品会社が製品作りのために使用する原料は、複数の箇所から仕入れるのが一般的です。それは、原料を安定的に必要量確保できるからという理由ですが、FASは製品の品質を担保するために、そして地域の皆さまへ少しでも貢献したいという思いから、赤米保存会の1箇所からお米を仕入れることに決めました。
「FASはこの地域を大事にしてくれている。だから今は集落一丸となって協力したい」と藤村さん。古代米の歴史の継承を目的に設けた農地を、現在はFASのために20倍にまで広げていただきました。春は、地元の皆さまと一緒に田植えを行い、町をあげて栽培していただいています。
情熱ををもって取り組む生産者の方とのご縁
こうして、黒米農家に始まり、京丹波の黒豆、京丹後のはちみつなど、素材ひとつ一つとその生産者の方たちとの出会いが繋がり、今のFASの製品たちは生まれています。
いいものを作りたい、届けたいという、ものづくりに妥協を許さない姿勢で繋がったご縁。その背景も、今後みなさまに伝えていければと思っております。